相続開始前5年以内に取得した貸付用不動産の評価

令和9年1月1日以後に相続、遺贈または贈与により取得した貸付用不動産について、一定の条件に該当する場合には、評価方法が変わります。
今回はその概要についてお伝えいたします。

貸付用不動産の原則的評価方法

土地および家屋の評価方法は原則として次のとおりです。
■土地・・・ 相続税路線価を基に計算した金額
   (倍率地域においては、固定資産税評価額に一定の倍率を乗じて計算した金額)
■家屋・・・ 固定資産税評価額に1.0を乗じて計算した金額

また貸付用不動産については上記評価額の、土地については約8割、家屋については約7割がその評価額となります。
これは賃借人の存在により、所有者が自由に利用や処分をすることができないという制約があるため、何も制約がない(他人に貸していない)土地や家屋よりも価値が低くなるという考えによるものです。

対象となるのは相続開始前5年以内に取得したもの

上記の原則的評価方法による評価額は、実際の取得価額よりもほとんどの場合は低くなるため、相続税の対象となる財産額を圧縮でき、相続税対策として広く行われてきました。
そこで、相続開始前5年以内にお金を払って取得した貸付用不動産である土地および家屋(以下「当該不動産」という。)については、次のように評価方法が変わることになりました。

① 原則: 相続開始時における通常の取引価額に相当する金額
➁ 例外: 当該不動産の取得価額が、その取得の時における通常の取引価額に相当すると  
      認められる場合には、次の区分に応じ、それぞれに定める金額
    ㋑ 土地
      取得価額 × 地価変動率 × 80%
    ㋺ 家屋
     (取得価額 △ 償却費 )× 80%

➁例外は「例外」と記載しましたが、同族会社や親族から相場価格より安く購入した場合等に該当しない場合(通常の取引で取得した場合)には、こちらの評価方法を適用することになります。
➁例外㋑土地の「地価変動率」は次の計算方法によります。
           相続開始年に係る評価基準額※1
地価変動率 = ――――――――――――――――――
         当該不動産の取得年に係る評価基準額
※1 評価基準額・・・ 路線価地域の場合は路線価評価額、倍率地域の場合は倍率方式評価額、またはこれらにより地価変動 
       率を求めることが不適当な場合は公示価格等
➁例外㋺家屋の「償却費」は定額法で耐用年数省令に規定する耐用年数により計算します。

まとめ

今回は相続開始前5年以内にお金を払って取得や新築をした貸付用不動産の評価方法の変更についてお伝えしました。
例えば以前から所有している土地の上に、貸アパートを新築して、その新築から5年以内に相続が開始した場合には、その建物部分のみが今回の評価方法により計算することになります。土地は5年以内にお金を払って取得したものではないため、通常の評価方法によります。
貸付用不動産の取得については相続対策という観点のみではなく、その後の継続した家賃収入の見込みや借入金の返済等を総合勘案して検討する必要があるかと思います。
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